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- 2016/9/14 17:13
- ふじさんへ【月夜の誓】⑥
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- …半平太の名前の『平太』だけを呼ばれたのだが、
名前を呼ばれ、返事をしたことには変わりない。
「はい、確かにお返事しましたが」
「失礼ですが、武市様、奥方様は…」
「僕にそのような人はおりません」
「そうですか。
では武市様に、ふじ様と契りを交わして欲しいのです」
「「「は？？？？」」」
「！！！！」
あまりに突拍子もない言葉に
僕ら三人は呆けた声を出してしまい、
以蔵は自分のことでもないのに、顔を真っ赤にしている。
ち ぎ り？
ぼ、僕の聞き間違いか？
何故、今晩出逢ったばかりの女子を
娶らねばならん話になるんだ。
「…っははは、武市大先生、凄いのぉ！
一目惚れでもされたか！」
「知らん！」
大笑いを始めた龍馬に苛ついた声を上げると
ふじさんがビクッと肩を震わせてしまった。
「あ…大声をあげ、申し訳ない…」
「………いえ………」
か細い声で俯いたまま、返事をし、
ふじさんが言葉を繋いできた。
「…未婚男性の名前をふじ様が呼び、
それに返事をされるは、私どもでは
『契り了承』の証となります」
………理解出来ない、というより
理解することを拒否している…と言う方が適当か。
確かにふじさんは見目麗しいし、
有難い話と思うべきがもしれないが、
僕には大志がある。
龍馬を支え、新しい世を迎えるまで
僕が生き残れるという保証もない。
そんな僕が妻子を持とうだなんて、
全く考えてもいなかったから。
妻子を持ち、守れないような不義をしたくはなかった。
「有難いお話ですが、
僕は今、妻を娶るつもりがな…」
断りの言葉を口にしようとしたのを遮られ
「娶って欲しいのではありません。
契り、子をふじ様に授けて欲しいだけなのです」
はぁあああああ？
…………。
い、いかん。
僕としたことが、取り乱してしまっている。
………しかし、
今のふじさんの言葉は、
僕の聞き間違いでないというのなら、
『妻に娶れ』という話ではなく、
種付けだけしろということ…か？？？
一体、どういうことなんだ！？！？！？
- …半平太の名前の『平太』だけを呼ばれたのだが、
