麻弥(旧maya)さんとモバ友になろう!
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- 2019/11/10 13:08
- たいせつ~幕恋10周年
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- 買ってきたお野菜の泥を落とすために、井戸でせっせと洗っていた。
すると背後から慎ちゃんが私にそっと耳打ちしてきた。
「姉さん、以蔵くん帰って来たっすよ。」
私は慌てて振り返る。
慎ちゃんはそんな私を見てケラケラと笑った。
「わあ、姉さん顔真っ赤!!耳まで赤いっす!!」
私は袖で顔を隠す。
自分でも顔が紅潮しているのがわかる。
「もお慎ちゃん、からかわないで!!」
慎ちゃんは構わず私の顔を覗き込む。
「でも、ウソじゃないっすよ。
今しがた戻ったみたいで、武市さんのところへ・・・
あ、姉さんこの野菜どうするんですか!!」
走りだそうとした私に慎ちゃんが声を掛ける。
危ない危ない。
仕事を放置してしまうところだった。
そんな私を慎ちゃんは呆れた顔をして見て言う。
「全く姉さんは以蔵くんのことになると何も見えなくなるんですねえ~」
「そ、そんなことないもん!!」
「い~や、以蔵くんに限ってっす!!」
「違う!!」
「違わないっす!!」
「そう・・・かなあ?」
「そうっすよ、自分で気づいてないんですか?」
「だって、心配なんだもん。何かあったらとか、怪我してないかとか・・・。」
「そりゃあ多少なりとも危険はつきものですよ、何せこのご時世ですから。
それに以蔵くんに限らず俺達はお尋ねものだし。」
「でしょう!!やっぱり心配だよ。無事帰ってきた姿を見ないことには!!。
慎ちゃんは私にずずっと寄ってきてこう尋ねた。
「それは以蔵くんだけっすか?姉さんが心配なのは以蔵くんだけなんすか?」
私は慌てて答える。
「い、いや。みんなだよ。龍馬さんも武市さんも、そして勿論慎ちゃんも。」
「ふ~ん、何か俺、一番最後で。とってつけたようなおまけ感満載なんすけど~~~。」
「そんなことない、みんな大事。みんな私の大切な人だから!!」
私の言葉に慎ちゃんはにっこりして、私の頭をポンポンとなでた。
「姉さん、俺もみんな大切な仲間だと思っています。
その中には姉さんもいます。
そして、姉さんのその気持ちとっても嬉しいっす。
ありがとうっす!!」
=あとがき=
以蔵なことが大好きな小娘ちゃんをからかったつもりが・・・
「好き」はひとつだけど「大切」はひとつではない小娘ちゃんなのです。
でもさ、寺田屋の何気ない日常を描くと「ああ、帰ってきたな」って気分になるよね~~~。
- 買ってきたお野菜の泥を落とすために、井戸でせっせと洗っていた。