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- 2016/9/14 17:04
- ふじさんへ【月夜の誓】⑤
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- 「そんな訳ないのは、お前が一番分かっているだろう」
全く訳の分からない状況であるのに
更に茶化され、苛々しながら答えると
「ほうか…。
で、何かあったがか？」
と、ドカッと腰を下ろし、
何て言うことないかの如く問い掛けてきた。
この辺で全く動じないところは、流石だとも思う。
「…こちらの方はふじさんという。
僕が藩邸からの帰り道、酔っ払いに絡まれているところに
出くわしたんだ」
そこまで説明したところで、以蔵が部屋に入ってきて、
皆にお茶を配りながら、後の二人のことを話しだした。
「そして、ふじさんの隣に座っているのが、
いちごさん…と、こっちの男性で、
先生をお迎えに行く途中で見かけたんだ。
ふじさんを探していたらしく、
悲鳴が聞こえたかと思ったら駆けだしたんで、
先生かと見間違えた俺は二人を追って行ったら…」
「武市が二人に、そっくりな女子が二人…の
状況になった訳か」
「でも、世の中には三人は似た人がいるって言いますし、
別にここに連れてくるほどのことはなかったんじゃ…」
「……だが、『話がある』と言いだされ、
送っていくのも拒否されたんだ」
「成程」
相槌を打った龍馬は、三人に向き直り
「ワシは坂本龍馬、言うもんじゃ。
こっちは中岡慎太郎、あっちで怖い顔をしとるんが
岡田以蔵。
皆、武市の仲間じゃから、安心しとうせ。
話言うんは、どげなことじゃ？
困っておることがあるなら、武市と一緒に力になるき、
話とうせ？」
と、ニコニコしながら話しかけた。
「……では、単刀直入にお伺いいたします」
いちごさんがおもむろに口を開いた。
「今一度、確認させていただきたいのですが」
「はい」
「ふじ様が武市様のお名前を呼んだとき、
武市様はお返事なさったと伺いましたが、
相違ございませんか？」
- 「そんな訳ないのは、お前が一番分かっているだろう」
