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- 2016/5/15 19:21
- 【OJB】風薫る5月の君~龍馬1
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- 清々しい朝を迎え、ワシと中岡とあん娘で朝餉を頂いていたときのこと。
「今日は『子供の日』ですね!どこかで菖蒲を手に入れられないでしょうか?」
あん娘のひとことで、この日ワシの予定は決まった。
「ほいたら朝餉のあと、散歩がてら摘みに行くかの」
「はい!行きましょう」
こういうときのあん娘の笑顔は何ものにも代えがたい。
――相変わらず、えい顔で笑う
――ワシにとっての宝じゃの
「わーっ、龍馬さんだけずるいっス!俺も行きたいっスよ」
隣りで箸を置いた中岡が、茶をすすりながら口を尖らせた。
「慎ちゃんも一緒に行こう!」
あん娘の言葉に、中岡が落胆の息をこぼす。
「俺はこれから桂さんの処へ行かなきゃいけないんっスよ・・・」
「そうなんだ、残念・・・。お仕事ならしかたないね」
同じようにあん娘も肩を落とした。
「みんなぁで出かけるんは、日を改めて・・・にするぜよ」
ワシの言葉で、両隣の顔がパッと明るうなる。
「そうしましょう!」
「いいっスね!龍馬さん、約束ですよ?」
「そうしよう、そうしよう!約束じゃ」
こうして朝餉を終えるため、それぞれの膳を片づけようと立ち上がる。
最初にあん娘が廊下へ出たとき、中岡がくるりと振り返った。
「とはいえ龍馬さん。抜け駆けはナシっスよ」
――へっ?
「くれぐれも姉えさんに変なこと、しちゃ駄目っスからね!!」
いつもは武市が言うような科白に驚いた。
「な、な、な、中岡まで、何を言うがじゃ!」
そんなワシに構うことなくいそいそと中岡も廊下へ出て行った。
――そんな下心・・・
――ワシは持ち合わせちゃおらん!
ひとり空しく心の中で反論して廊下へ出る。
皐月の晴れ渡った空が目に入り、さっき見たあん娘の笑顔が浮かんできた。
――ワシは下心なんぞ、持っちょらん!
――たぶん・・・たぶんの
片手で頬を掻き、炊事場へと向かった。
- 清々しい朝を迎え、ワシと中岡とあん娘で朝餉を頂いていたときのこと。