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- 2014/2/27 2:14
- とろける恋の味・その１
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- 「………困りました」
台所に広げた材料と調理器具を前にわたし――西園美魚は途方に暮れていました。
「どうやって作ればいいのでしょう…？」
目の前には大きな『ハート』の型。
今日の日付は、2月13日。
――つまり、バレンタインの前日です。
とろける恋の味
「……ありました…」
ものの数分で終了した図書室探索から戻り、お目当ての『簡単！ チョコレートレシピ』なる本を開く。
……一応言っておきますが、何もわたしは、チョコレート作りの方法を一から十まですべて知りたいわけではないです。大まかな流れは知っています。授業でも習いましたから。……ただ、湯せんをする際のお湯の温度など、細かい部分で不安があったので本を探しただけです。
……ええ、わかっています。そんなこと、神北さんに聞けばすぐにわかります。ですが。
「メールで聞こうにも、送信までに何時間かかることか……」
情けないことに、未だにわたしは、携帯電話を使いこなせていないのです。……便利なのはわかっています。ですが慣れないものは仕方ありません。何時間も携帯電話とにらめっこをしているくらいなら、こうして自分の足で調べに……あ。
「神北さんの所へ聞きに行けばよかったんですね」
今気づきました。
………………。
まあ、今更です。
気を取り直してチョコレート作りに戻ります。市販されている板チョコを細かく刻み、用意していたボウルに入れます。少し前に沸かしておいたお湯の温度を確認、……適温ですね。湯せんを始めます。
- 「………困りました」
