夕映さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
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- 2014/1/5 0:47
- 放課後の待ち合わせ(前編)
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ユメ――。
ユメを見ている。
あたしじゃない人間の視覚を通して、あたしじゃない人間の人生を覗く――そんなユメ。
…そう、覗く。出歯亀が嫌いなわけじゃないけど、これは流石に遠慮したい……出来ないことも、わかってはいるけど。
何度も、幾度も繰り返し、結末だけでなく過程までも丸分かりなストーリーを、あたしはまた覗くハメになる。
――願わくば、少しでもあたしの意思が、そのユメに影響を与えると信じて…。
放課後の待ち合わせ
「…………あ、やっときたー」
「ごめん、待たせちゃたかな?」
扉の開く音と共に入ってきた理樹くんは、幾分バツの悪そうな表情をしていた。
約束の時間は10分前に過ぎていた。まあ、この遅刻はきっと、恭介さん達に捕まっていたからなのだろうから、別段責める気はないんだけど。
「ううん、あたしも今来たとこ」
せっかくなので、デートらしさを出してみた。
「…さっき開口一番『やっときた』って言われたような…」
「………あ」
そうだった。我ながらなんて間抜けな失敗を…。
「と、ところで、今日はどこに行こっか?」
「……なんか顔、紅くない?」
「紅くない」
「いや、紅いよ」
「ゆ、夕陽のせいだから!」
恥ずかしさを誤魔化すために、あたしは理樹くんから視線を逸らし、窓の外へとその矛先を変えた。
外は夕暮れ。沈みゆく夕陽が教室内を優しく照らしている………のだが、あたしにはどうにも、太陽が「冤罪だ!」と怒っているようにも見えるのでいたたまれない。
ごめんね? と心の中で太陽に謝罪していると、理樹くんがクスクスと笑っているのが聞こえてきた。
「……なに?」