夕映さんとモバ友になろう!
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- 2014/1/5 0:46
- 放課後の待ち合わせ(中編)
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- 「ううん、べつに何でもないよ」
何でもない、なんて言いつつも、理樹くんは笑うのをやめない。むぅ…。
「…もう知らないから」
「あ、待ってよ!」
先に行こうとしたあたしに置いてかれまいと、理樹くんは慌てて鞄を取った。
トコトコと歩く、なんて表現が似合うほど可愛らしい歩きじゃなかったけど、あたしの後を追って歩く理樹くんの姿が、母親の後を追う小さい子のそれに見えて………すごくあたしの琴線に触れた。
有り体に言って、満足した。
「うん、その姿に免じて許してあげようかな」
「……何の話…?」
首を傾げる理樹くん。…可愛い。さっき笑ったのは水に流してあげよう、うん。
「なんでもな~い。それよりあたし、欲しい本があるんだよね。帰りに本屋に寄っていかない?」
「いいよ、ちょうど僕も欲しい本があったし」
「…あたしたち、気が合うね?」
「…そうかもね」
二人、顔を見合わせて笑う。
「それじゃあ、行こうか――」
笑顔の理樹くんにあたしも笑顔を返す。
「――美魚」
瞬間。
世界から、全ての色が消え失せた――。
◆◆◆◆◆
「……………………最悪……」
ユメから覚めた。天国から地獄へ叩き落とされた気分。きっと、現存するどの絶叫マシーンでもこんな落差はないだろう。
「………あーぁ…」
せっかくの、幸せなユメ、だったのに………いや、妄想、かな。それとも空想?
「……どっちにしても『ユメ』って読みそう…」
結局、あたしの見るユメは悪夢しかないのかもしれないけど。
「…………えっと、こっちのユメはどこまで行ったんだっけ…?」
何回も繰り返していると、既視感やら何やらで時系列が混乱してしまう。よく今まで発狂しなかったな、あたし…。
- 「ううん、べつに何でもないよ」