パピさんとモバ友になろう!
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- 2015/10/16 12:45
- どこでもドア
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- 「ワトソン君、ついにどこでもドアが完成したぞ!」
ホームズ博士が厳かに言った。
「え、どこ?どこ?」
助手のワトソンは、さして広くない研究室内を見渡した。
それらしきものはなかった。
研究室には一つだけドアがあるが、それはこの部屋の出入り口だ。
「ここ、ここ、これだよ」
博士は自分の目の前のテーブルを指さした。
20センチ四方ほどの金属の立方体が置かれている。
上部には青いボタンが一つついているだけだ。
「こんな小さな機械で、宇宙に行ったりできるんですか、博士?」
ワトソン助手は不思議そうに聞いた。
「いや、宇宙には行けないな」博士は首を振る。
「じゃあ、アメリカとかヨーロッパとかへ?」
「それも無理だな」博士は首を振る。
「あ、分かった。確かまだデータの入っていない所へはいけないんですよね」
「データも何も、残念ながら、どこへも行けないよ」
「どこにも行けないどこでもドア…ですか?」
ワトソン助手は肩を落とした。
「まあ見ていたまえ…」
博士は青いボタンを押した。
部屋の窓と言う窓がドアになった。
壁と言う壁がドアになった。
天井も床もドアになった。
「ほら、どこもかしこも、ドアだ」
博士は得意然と胸を反らすのだった。
- 「ワトソン君、ついにどこでもドアが完成したぞ!」