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    • 2017/3/4 19:53
    • 小説「ふたりでひとつ」#last number②
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    • 「琴葉ちゃん、今日のライブ、ずっと楽しみにしていたと思うよ」マサナオくんは、綺麗に晴れ渡った空を見上げる。
      「うん。わたし、ずっと琴葉ちゃんに支えられたり、助けられっぱなしだから…琴葉ちゃんの机から、この歌詞が書かれたルーズリーフをみつけたとき、絶対、歌わなきゃ…琴葉ちゃんという一人の少女がちゃんと生きていたっていう証をわたしが伝えなきゃ…わたしが今度は恩返ししなきゃって思ったの。ずいぶん時間がかかったけど…」
      琴葉ちゃんがいる空を照らす太陽も、楽しそうに笑っていた。
      チラリと時計を見ると、集合時間を過ぎようとしていた。
      「あ、わたし、そろそろ行かないと…」あわてて、ベンチを立ち上がる。
      「うん。失敗してもいいよ。精いっぱい、気持ちを込めて歌ってね。客席で応援してる」
      「ありがと。ちゃんと聴いててね。琴葉ちゃんのぶんも」
      「ああ」
      わたしは、集合場所まで駆けていった。


      「それではkotohaさん、よろしくお願いします」
      「はい」
      スタッフの人に呼ばれて、ステージ裏にスタンバイする。
      (スーーッ……ハァーーァーー)
      せいいっぱい、深呼吸する。
      (うーー。やっぱキンチョーする)
      目を閉じて、胸に輝く銀のハートのネックレスをしっかりと握る。
      (今日は借りるね、このわたしたちのネックレスとあなたの力を…)

      どんなにつらくても、泣きたくなっても、もうひとりのわたしが心の中にいる。
      もうひとりのわたし、のぶんもわたしは生き抜くんだ。そう、決めたんだ。
      目を開き、まっすぐ前を向く。
      「よろしくお願いします」

      わたし、歌うよ。

      この声があなたに届くように。

      だから…ちゃんと聴いててね。

      一歩一歩、ゆっくりと会話を楽しみながら、ステージに立つ。
      イントロが始まる。
      あなたを想いながら、気持ちを込めて……
      わたしは歌いだす。

      あなたのために。

      琴葉へ。


      【完】

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