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- 2017/3/1 19:45
- 小説「ふたりでひとつ」ダイヤの6
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- 夏休みも半ばに入って、記録的な暑さが、日常的になっていて、今日みたいな平年並みが、もはや珍しかった。あれだけ目立っていた太陽が、今度は月にみつからないように、かくれんぼを始める。
このあたりとしては、有名な花火大会がもうじき始まろうとしていた。
アタシとカズハちゃんは、それぞれの浴衣を着て、縁日を楽しんでいた。
アタシの浴衣には太陽と向日葵が、カズハちゃんの浴衣には月と朝顔が水彩画タッチのデザインで描かれている。去年、少し歳の離れたいとこのお兄ちゃんが、誕生日プレゼントしてくれたものだ。デザインは、そのお兄ちゃんの奥さんがしてくれた。去年の花火大会で早速着て出かけると、友達にものすごく羨ましがられたのをすごく覚えている。
「ひさしぶりだね、こうしてカズハちゃんとふたりきりで花火大会にくること…」
「そうだね。でもさ、ほんとは、マサナオくんと来たかったんじゃないの?」
「うん…まあ…ね。しかたないよ、昨日から田舎のおじいちゃん家に遊びに行くって言って、行っちゃったから」
「あれから順調なんだ」
「おかげさまで、ね。カズハちゃんは…あれから…ケイゴくんと会ってないの?」
「うん…わたしもさ、もう高校生だし、男性に対してもっと深く知らなきゃいけないんだろうけど…やっぱり、その…キスとかそういうのって、清らかで大切なものって思いたいし…自分もキスしたいなっていう感情で溢れるまでは、守っていたいから…今更、会ったところでもう仲良くなんてできないと思う。でもね、初めてふたりで出掛けた日、どんなことでもちょっとしたきっかけがあれば、人は変わることができるって教えてくれたのは、彼だったから、そういうとこでは、感謝してる」
「そっか。まるっきりヤな思い出が残るわけじゃなくてよかった…」
「琴葉ちゃんにはさ、マサナオくんと、幸せになって欲しいな。今はそれがわたしにとっても、願いでもあるの。応援するからね」
「ありがとう。じゃあ…がんばんなきゃ」
「そだよ。もし、別れるようなことがあったら、わたし、盗っちゃうから」
「そんなの、ダメっ。ぜったい離さないんだから」
「ごちそうさまです」
〈ヒューー………ドドドーン…ドド…〉
大きな音とともに、虹色に彩る花火が散った。
- 夏休みも半ばに入って、記録的な暑さが、日常的になっていて、今日みたいな平年並みが、もはや珍しかった。あれだけ目立っていた太陽が、今度は月にみつからないように、かくれんぼを始める。