ゆめひとさんとモバ友になろう!
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- 2017/5/11 1:29
- 終わらない夕暮れ
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- 知り合いの生まれた場所は海辺のさみしい街でした。
中心地から離れたその地域は子供が少なくいつも1人でした。
家から坂道を下り始めるとバナナの木の横に深緑の石碑がありました。
そこは昼でも薄暗く黄色い月見草がなぜかたくさん咲いていました。
こんなにも退屈な日々の中で唯一特別な刻があります。
それは季節が夏に向かう夕方の頃海へ降りると不思議な現象が起きるのです。
急に風が止み海がまるで鏡面のように凪て全くの無風状態になります。
夕日は赤さを増し風が止まり永遠に続きそうなこの夕暮れは海辺の街にしか起こらない独特の現象です。
波の音さえもしない静かな海は赤く赤く滲み街は黒く夕闇に沈んでいきました。
最近になりこれが夕凪という現象だったと知りました。
この夕凪は長くつまらない子供時代によく似ています。
1人で過ごした海辺の街は終わらない夕暮れに飲み込まれ夕凪は1人佇むあの日の自分を暖かく慰めてくれました。
- 知り合いの生まれた場所は海辺のさみしい街でした。