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    • 2011/12/31 18:24
    • 馬鹿と珈琲
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    • 「馬鹿にはなれずとも、馬鹿はした。大体の男はそういうものなのさ」

       珈琲を慈しむように味わいながら真士さんは思い出話をそう締めた。
       冬の寒い日だった。客は一人も居ないほんのり暖かい店内で、今日は真士さんが語る珍しい日でもあった。
       バイトのお姉さんに店番を任せて休憩しているのだけど、顔見知りでなければ、どうしてこれが店長だと気付くだろうか。

      「珈琲だって、珈琲がないと眠れなくなった珈琲馬鹿、まぁ今考えれば中毒だけど、そんな馬鹿に出会わなければ、こうは愛していないよ」

       昔話を楽しそうに、そして若干の切なさを込めて語るそれは、まだ若い方に入るにも関わらず、歳を食ったオジサン客のそれだった。こうして聞いていると初見の人に客を装って仲良くなるのだというお姉さんの話も事実なのかもしれないと思う。

      「まひろちゃんには、つまらない話だったかな」
      「ううん。店長の話、面白かった」
      「今は真士さんでいいのに」

       だって普段は怒るじゃん。そう私が笑うと、休憩だろうが店が開いてれば店長です、と不機嫌そうなお姉さんがクッキーを出してくれた。温かいクッキーというのはまた格別な味がする。ミルクと砂糖がたっぷりのコーヒーには相性が良い。

      「しかし参ったな。こんなに話すつもりはなかったのに」
      「あ、折角の休憩なのにごめんね」
      「こういう話は休憩だからこそだよ。ただ思っていたより、話してしまったのさ。俺も歳を取ったかな」

       やれやれと腰を上げながら、真士さんは笑う。

      「君が馬鹿してるのを見ていると羨ましくて仕方ないよ」

       さてはて、私には真士さんなんかは今も馬鹿してるようにしかみえないのだけれども。
       真士さんが奥に引っ込んで、お姉さんが呟いた。

      「本当に男は馬鹿ね」

       私は静かに笑った。

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