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    • 2013/5/6 3:40
    • 白き彼の物語
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    •  彼の部屋は居心地が良い。それは僕の感想でもあり、彼女の感想でもある。彼の部屋を訪れたすべての人の感想と言ってもいい。

       それは快適とは少し違う。あくまで心地良いのだ。その心地良さを説明するのは簡単とは思えない。ただ言葉を尽くすとすれば、それは彼の部屋であるのに、僕らはその部屋に居ることを何一つ拒まれないということ。そういう心地良さだ。

       確かにそこは彼の部屋だが、彼はインテリアでしかない。あるのが当然の存在のように思える。神殿には神様がいるように。そんなことはあるはずがないと思いながらも、部屋の中では思い出すことができない。

       彼女は彼の部屋によく居た。僕と友人らはそれに遭遇したことはないが、話を整理する限りは随分な頻度だったようだ。彼にとっては、幸福な時間だったのだろう。彼女にとっても幸福だったに違いないが、僕はその幸福が彼と同じとは思えない。

       白き彼の部屋は白く淡く柔らかい。白を基調としながらも、淡い緑や橙で色を揃えた家具や寝具が穏やかに彩られている。そして、所々に飾られたクラシックの楽譜や川端康成の小説や上品な硝子のティーポットが滲んだ部屋の色彩を適度に引き締めていた。

       彼の部屋で僕はいつも神社の境内を思い出す。彼が居ること思い出せない代わりに。色彩も雰囲気もまるで異なる環境だが、不思議と思い浮かぶ。近くて遠い場所だ。

       僕は彼女と直接会ったことは少ない。だから、本当のことが語れる訳ではないだろう。それでも僕は、彼女は彼を見失わなかったのだと言いたい。欠けていたのは、白き彼の方だったのだから。

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