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    • 2017/3/16 8:49
    • パレット(仮題)
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    •  第一色 ようこそ“秘密のパレット”へ


       
      「“秘密のパレット”だと? なんだよ、それは」
       頬杖をつきながら、ヘッドホンを首に掛けた少年が聞き返す。視線の先には、背中辺りまで伸びた黒髪を無造作に垂らした小柄な少女が一人。
      「だ・か・らぁ。この学校に存在してる部室のことなんだって、さっきから言ってるでしょ」
       両手をブンブン振りながら少女は怒った様子で話を続けた。
      「この学校には、全校生徒が帰宅した頃に密かに活動する部活があるの!」
       手前にあった座席の椅子を引き、少女が腰を下ろす。少女は決して嘘を吐いているような感じではなく、真っ直ぐな瞳で少年を見つめる。ヘッドホンの少年――二階堂次郎(にかいどうじろう)は少女――白河翼(しらかわつばさ)をじっと見つめたあと、「はぁ」とあからさまな溜め息を吐きだす。
       二人は幼い頃からの馴染みで、幼稚園から高校まで全て同じ施設で育ってきている親友とも呼べる仲である。とはいえ、白河は成績優秀で人脈もあり、学園内でも名の知れた存在である。対して次郎の成績は、お世辞にも決して良いほうではなく、それほど友人がいるということでもない。次郎からすれば偏差値の高くない高校を選ぶのは当然であるが、幼馴染みの白河が同じ高校に入学したのには、何か理由があるようだ。
       時刻は昼の一二時五○分。すでに昼食を終え、次の教科が始まるまでの残り時間をのんびり過ごそうとしていたところを、隣のクラスからやってきた白河に捕まってしまったのだ。
      「ね。ね。どう? 今日の放課後、その部活を探してみない?」
       白河は身を乗り出してこちらに同伴を求めてきた。
      「……なんだかなぁ」
       後頭部をガシガシと掻きながら応える。昔から、好奇心が先走って行動する白河に付き合わされ、散々なめに遭ってきた次郎からすると、今回も迷惑極まりないことが起こるような、そんな気がしていた。それに何故か今回に限っては、何かとてつもなく危険なことが起こるような、そんな感覚さえしていた。
      「……まあ、今回が最後な」
       次郎の返答を聞いた白河の表情がパッと明るくなる。「ありがとう」と礼を言われたあと、放課後の予定を決められる。次郎は適当に相槌を打ちながらヘッドホンを耳にあてる。とにかく、今は白河の声を遠ざけたかった。
      ――この好奇心に付き合わされたせいで人生が狂うことなど、知るはずもなかった。

       

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