フェム卜さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
-
- 2011/7/5 16:35
- 天国と地獄
-
- コメント(0)
- 閲覧(9)
-
-
釈迦に連れられ、天国と地獄を見てきた男の話をご存知だろうか。
曰く。
昔、不幸な生い立ちから道を誤り、犯罪者となった男がいた。
彼は、世の中と、取り分け神と呼ばれる存在を憎んでいた。
『この苦の裟婆には神も仏もありゃしない。極楽も地獄もないのと同じで』
それが口癖だった。
ある日、盲目の老僧が『うどん』と称してミミズを食べさせられそうになっているのを助けると、老僧は
『お礼に天国と地獄を見せてあげましょう』
と言う。
『そんなものはこの世で毎日見ているぜ、これ以上は必要ねえや』
『それは真理であるが、まあそう言いなさんな』
人の変わったように笑うと、老僧は男の手を引き手水鉢へと導くのだった。
老僧が手水鉢を杖でつつくと、その水の中に大きな釜を囲む大勢の人々が見えた。
釜の中ではうどんが煮られているらしい。
釜の回りの人々は箸を持っているのだが、それが3mはあろうかという、まるで細い物干し竿だ。
人々はその箸で、我先にうどんを掴もうとするが巧く行かない。
空腹に耐えかねて釜に手を入れ出す者、うどんを掴めそうな相手を邪魔しにかかる者、仕舞いには箸は武器になり、うどんそっちのけで大喧嘩が始まった。
『なるほどこれは地獄だな』
男は思った。
老僧は再び手水鉢をつついた。
見えたのは、またうどんの煮られる大釜だった。
人々が長すぎる箸を持っているのも変わらない。
しかしこちらは様子が違う。
この長い箸では自分はうどんをすすれない。ならばと釜の向こう正面の相手にうどんを差し出している。
空腹ばかりでなく、心まで満たされる食事風景であった。
『なるほどこれが極楽か』
そして男がふと気づくと、目の前の手水鉢も老僧も消えていた。
そういうお話。
怪盗やっていると、この地獄の話が思い出されて仕方ない
いやですねえ。
複数所持品しか盗まないという協定が結ばれればいいのに。