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- 2013/12/17 0:47
- 思いつき
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- 闇という言葉も足りないくらいの虚無の一角に、少女はいた
「わたし…最低だ…大事な人たちを傷つけちゃうなんて…」
とは言うが、何をしたのか、何故そうしたのか思い出せない
ただ、少女の中に僅かに残っている記憶には、大事な人たちを傷つけ、悲しませ、失ってしまったという悔恨の念だけはあった
その大事な人たちも思い出せない。罪の記憶すら思い出せない。ならば、誰にも思い出してもらうこともなく、自分から思い出すこともなく、ただ虚無に身を任せ、眠るようにこのまま消えてしまったほうがいいのかもしれない
少女はふと、そう考えた
瞼を閉じ、消えようとしていたとき、誰かの声が響いた
『どうして…そうしちゃうんだ?』
少年のような声が少女の意識を引き戻した
ゆっくりと瞼を開けた少女の目に写ったのは、少女にとっての一番大切な人で、初めて失ってしまった人だったが、今の少女は彼すらも思い出せそうになかった
「消えるしか…そうするしか…償えないから…わたしが何をしたのか…わからないから…」
消えそうな声で少女は少年の問いかけに答えた
『消えるしかない?』
「うん…わたし…思い出せないけど…大事な人たちを傷つけてしまったから…」
本来ならば、泣いている表情で言うのだが、虚無にいるせいか、ただ眉を動かすことしかできなかった。
『…君はそれでよくても、残された人たちは―』
「もう…どうせ忘れちゃうわ…わたしがここにいるから…」
- 闇という言葉も足りないくらいの虚無の一角に、少女はいた