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- 2025/5/21 11:07
- 第五章 揺れるかけら
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- 小瓶の中の金色は、揺れる炎のように、わたしの心の奥底で波打っていた。
その一滴一滴が、何かを思い出させそうで、でも指先からすり抜けてしまう。
「ことは」は静かに横に座って、何も言わず見守っていた。
その存在は、不思議と重く、でもどこか優しく感じられた。
思い出そうと目を閉じると、まぶたの裏にぼんやりと、あの日の記憶が映る。
けれどそれは、かすれた写真のように、完全には見えなかった。
笑い声、風の匂い、遠くで聞こえた誰かの呼ぶ声。
それは確かに大切なものだったけれど、なぜか触れられない。
「何か足りない気がするの」そう小さくつぶやくと、「ことは」はそっと手を握ってくれた。
「それは、まだ見つけていない大事なかけら。焦らなくていいよ。」
その言葉に胸が温かくなる。
わたしはまだ旅の途中。ゆっくりでいい、答えは必ず見つかるはずだから。
小瓶の金色は、今日も静かに揺れている。
それが希望の光なのか、忘れた痛みなのかは、まだわからないけれど。
- 小瓶の中の金色は、揺れる炎のように、わたしの心の奥底で波打っていた。