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    • 2025/4/30 19:19
    • 奇書「神聖喜劇」(4)
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    • 東堂二等兵は旧制中学のころから江間の漢詩に親しんできたという。ここから出発して、吉田松陰、トーマス・マン、チェーホフ、明石海人(歌人)らが論じられ、総じて、「芸術家とは、いかなる人間であるか」を考えて行く。この間、数十ページにわたって、いわば脱線話が続くわけだが、これがまた大変におもしろい。まさに「常軌を逸している」。(漢詩をそれなりに読もうとすると国語辞典では間に合わず、漢和辞典が必要になる。)

      東堂二等兵という主人公は、もちろん創作だが、かなりな程度に作者の「分身」でもあるらしい。人物像をざっとまとめておく。

      東堂太郎。
      (作者は1919年生まれで、同年とすれば)23歳ぐらい、福岡市の元士分の家系に生まれる。父は旧制中学国語教員、郷土史家にして文人、能書として地元では知られた人物だった。幼年期より父から漢文を教わる。九州帝大法学部に進むが、旧制高校時代の友人らと共産主義サークルを結成し、逮捕される。嫌疑不十分のため不起訴処分であったが、大学は退学となる。その後、福岡の新聞社に入社、編集局勤務。教育召集を受けて対馬聯隊に入隊。並外れた記憶力を持つ。

      この東堂青年は、必ずしも共産主義者ではないが、相当のシンパだとは言える。左翼(あるいは極左)方面の研究もしているし、帝国主義戦争についてレーニン、コミンテルン流の考え方を基本的に「正しい」と受け入れている。当然、わが国の「大東亜戦争の大義」などというものはまったく信じない。しかし、大弾圧の時世となり、学生のちょっとした読書会でさえ摘発され、リーダーであった友人は獄死する。抵抗する術もない。

      こうしたことの結果、東堂青年は、自分の人生にはもはや積極的に生きる価値はない、と考えるに至る。彼の言う「我流虚無主義」である。そこに対馬聯隊への入隊を命じられる。教育召集とはいえ既に対米英戦争は始まっており、教育後そのまま戦地に送られる可能性は高い。どうするか。

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