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    • 2013/6/16 14:47
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    • 本当はわかっていたんだ。私の正義感は矛盾している。誰かを救うためには誰かを犠牲にしなければならない、それを認めたくなくて、否定して、一方を悪だと決めつけて、悪なら排除しても仕方ないって割りきれるように言い訳してたんだ。

      今にも崩れそう足取りでふらふらと立ち上がる。何処に力を込めれば上手く立っていられるのか、それすら今はわからなくなっていた。倒れている女、いいえ、母さんはまだ息があるけど、早く治療を受けないと出血多量で命を落とすだろう。それだけはあってはならない。

      母さんから降りると、そのまま母さんの身体を持ち上げる。少し軽くなった気がした感覚に、寒気を感じて鳥肌が立つ。嫌悪感を抑えつつ、もう一度後ろを振り向く。呆然としている男、いいえ、父さんの腕に慎重に下ろして託す。


      「母さんを、よろしくね」


      それだけ言って父さんに背を向けて、私はゆっくりと歩き出す。早歩き、小走り、走る。

      集落では親.殺しはもっとも重罪だ。捕まったらどうなるかは目に見えている。本当ならここで大人しく首を差し出すのが正義かもしれないけど、私の足は集落から出る門に向かっていた。理由は簡単だ。
      死にたくないんだ。まだ、やりたいことが山ほどある。友達も作りたい。遊びに行きたい。美味しいものもたくさん食べたいし、できるなら恋愛だってしてみたい。

      だから、



      「ごめんなさい―――――っ」

      小さな謝罪の言葉を投げ置いて、私は集落の門から外の世界へ飛び出した。後ろは一度も振り向かなかった。

      emoji『リンク:古賀雫』

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