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- 2013/4/7 21:29
- 余録10:ヨウコのココン東西(3)
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日本での妖狐のイメージは中国でのそれとかなり似通っています。元々は中国から輸入した話だったのでしょう。
いつ頃日本に入ってきたのかははっきりしないものの、平安時代の書物に妖狐についての記述が出てくるので、少なくともそれ以前には伝わっていたはずです。
日本で有名な妖狐と言えば、主には2人。1人は言わずと知れた白面金毛九尾の狐、玉藻前です。「白面の者」と言われると思い当たる方も多いはず。
もう1人は、信太森の狐、葛葉狐と呼ばれる妖狐です。こちらは聞いたことない方いらっしゃるかも? 日本一の陰陽師と言えばこの人、安倍晴明のお母様です。
玉藻前については実は意外と新しく、安土桃山から江戸時代ぐらいにかけて成立した話、らしいです。残念ながら原本を見つけられなかったんですが、16世紀の『神明鏡』『臥雲日件録』という書物の中に記述があるとのこと。
玉藻前という美しい女性がいて、鳥羽天皇が一目惚れで結婚した。直後に天皇が病に倒れたので陰陽師が診てみると、どうも玉藻前が災いを呼んでいるらしいと言う。調伏を試みれば狐の正体を顕し、下野国に逃げたところを退治した、と言う話ですね。
実を言うと、初期の段階では「玉藻の前=九尾の狐」ではありませんでした。「二本の尾だった」もしくは「尾の先に二本の針がついていた」という話が原型。尾っぽの数が少なかったんですね。
権力者をたぶらかす女狐…という共通点から中国の妲己と結びつき、「妲己=九尾の狐」説が混ざって「玉藻の前=九尾の狐」となった、という辺りが正解の様子。これが江戸時代後期の事と言われています。浄瑠璃なんかで題材として取り上げられ、有名になりました。
ちなみに玉藻の前、八万人あまりの軍勢を手玉にとって壊滅させたとんでもない化け物です。妖狐がみんなこんなに強いかと言えばそんなこともなく、元々は普通の村人とかが退治できる程度。変身してても犬をけしかければ割と簡単に正体を現してしまいます。
強い力を持つのは年を経ていて、多くの人間から大量の精気を奪い取った妖狐。中国では妖狐は人の精気を奪い取る話が多いです。玉藻の前=妲己も元々は中国産妖狐ですし。
一方日本ではどうか? 日本の妖狐は人を化かして楽しむだけ、精気を吸うことはあまりありません。そのせいかあまり強い個体は現れないようですね。
では、そんな日本産の妖狐のお話を見てみましょうか。信太森の狐の話です。