ファルコンさんとモバ友になろう!
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- 2013/12/19 22:41
- 秤探偵事務所2
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- 由見は諦めたように嘆息し、ようやく本を置いて少女の方へ視線を向けた。
「朱法院さん、何か用事でも?」
あからさまな愛想笑いを浮かべてそう答える由見に、少女──朱法院美知は臆面もなく答える。
「暇なの」
「へぇー。それで?」
「それだけ」
「そっか……」
ため息を一つ。うんざりした表情を一瞬浮かべ、すかさず愛想笑いに戻す。
「それで、僕にどうして欲しいのかな」
「修行しよう! 今すぐに!」
由見はまたか、と呟く。
「修行はさ、とにかくやればいいものじゃないんだって。今のペースを崩すと効率悪くなるだけだよ」
「いいじゃないの、別に。仕事なくてどうせ暇なんだし」
「なら、その仕事を探してきなよ。バイトなんだから」
「えー」
「文句言わない。所長命令、行ってきなさい」
そう言い放つが、美知は不満気で言うことを聞きそうにない。
「あたしが呼び込みとか、それこそ効率悪いじゃない。人には適材適所ってものがあるの」
「いやまぁ、その通りなんだけどさ。自分でそれ言っちゃうのか……」
由見は頭を抱えながらそう答える。
「仕方ない、そんなにやりたいんだったら修行しようか」
「え、ほんと!? いいの!?」
「うん。ま、修行と言っても座学の方だけどね」
「お客さん探してきまーす」
さっそうと踵を返し、応接室から飛び出ていく美知。由見はいつものことだと言わんばかりに一息つき、再び本を開いた。
- 由見は諦めたように嘆息し、ようやく本を置いて少女の方へ視線を向けた。