蓮野鶴羽さんとモバ友になろう!
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- 2015/12/5 2:50
- 暇潰しの文章52
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- 鬼灯が立ち去って、どのくらいの時が過ぎただろうか。
静寂に包まれた森の中、ただ一人でいると、とても長い時間が経っているような気さえしてくる。
実際は、そう長い時は経っていないのかもしれない。
一人でいることが、静寂が、そう思わせているだけなのかもしれない。
だけど、大人しく待っているよう言われたのだから、何かをしようと言う気にもなれず。
チェルシーは、ただ一人膝を抱えてじっとしていた。
二人は、まだ帰ってこない。
──刹那、足音が聞こえてきた。
草木を踏むようなその音に、チェルシーは姿勢を正した。
(……この音、は)
鬼灯は、動く時に物音を立てない。だから、彼ではない。
グレイなら、もっと気配が薄いはず。だから、彼でもない。
(……じゃあ、誰が?)
そんな事を考えて──咄嗟に身構えた。
音は、段々と近付いてきている。
誰であろうと、得体が知れないのは確かなのだ。
何かあれば、自分で自分の身を守るしかない。
ふと、盗賊を襲われ──切らざるを得なくなった髪の事を思い出した。
世間一般で言えばまだ長髪の部類に入るだろうが、それでもこうなったのは自分の油断が招いたことなのだ。
(今度こそ、一人で対処くらい──…!)
がさり。
目の前の、茂みが揺れる。
その音を合図に、チェルシーは茂みの向こう側へと飛び掛かった。
- 鬼灯が立ち去って、どのくらいの時が過ぎただろうか。