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- 2011/5/28 2:08
- アイツの価値
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- 「今日は雨」
その予報を聞いて、僕は親に車での送迎を頼もうと思った。
だが僕は、そこで無造作に置かれているアイツに気づいた。
そう、カッパだ。
雨の日しか使えないカッパ。
だけど、車で送り迎えをしてもらえば必要のないものだ。
そんなカッパの在り方に僕は考えを改めた。
僕は、自転車を走らせた。
雨は降っていなかったカッパの着用はしなかったが、帰りには降るだろうと僕はカッパをカゴにいれ、学校へと向かった。
車で向かわなかったのは、カッパがあまりにも不憫で可哀相だったからだ。
雨の日にしか使えないカッパは雨の日にならないと効果はない。
アイツは雨の日にしか輝けない。
しかし、逆に雨の日ならアイツは輝ける。スポットライトの当たる舞台上へ立てるのだ。
しかし、そんなせっかくの雨の日に、アイツが今日のこの日まで待ちわびた出番を『車の送迎』なんかで奪ってよいのだろうか?
否、アイツは舞台上にあがらなければいけない、スポットライトに照らしてもらわないといけないのだ!!
今までずっと舞台袖で指をくわえているしかなかったアイツが輝けるたった一つの舞台である雨の日にアイツ以外のキャストはいらない!!
傘で防げない横殴りの雨だってアイツは360度全方位守ってくれているのだ!!
そんなアイツが雨の日にまで指をくわえているしかないなんて不条理が許されるものか!!
アイツは消極的だから「自分は所詮道具だから、決めるのはご主人様だよ」とか言って使ってもらいたいなんて一言も言わないが、アイツだって主人公になりたいんだ!!雨の日だけでもヒーローになりたいと、心の底では使ってほしいと思っているはず!!
そんなアイツの願いを、夢を、希望を、僕は踏みにじりたくなかった。
もう僕はアイツの涙なんか見たくないんだ。
アイツには笑っていてほしい。雨の日に輝いてほしい。
僕はそう思う。
みんながカッパ達の叫びや泣き声をきいたら何も言わずに抱きしめてあげてほしい。
そして、カッパ達の意志を尊重してほしい。
- 「今日は雨」