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    • 2013/8/21 13:38
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    •  白井やすなが自身の乳頭の異常性を認知したのは、高校二年の夏休みのはじまりのことだった。
       それはやすながシャワーを浴びているときのことで、白くぼやけた鏡を濡らす丸い水滴のそこに、左の乳房の映るのが判った。それを見て、やすなはふと違和感を感じた。けれどその違和感は、日常に存在するあらゆる違和感と同じように、シャワーノズルから出るお湯に流されてどこかへ消えてしまった。
       やすなは特段、それを気にすることはなかった。少なくともシャワーを浴びバスタオルで身体の水滴を拭き終わるまで、そこにある違和感はその輪郭を曖昧にして、認知することは叶わなかった。
       だからヘアドライヤーで髪を乾かしているとき、左の乳頭の異常性を知ったやすなは、言い知れぬ不安にかられた。
       それはふとすれば、瞬きをするあいまに見逃してしまうくらいの、小さな異常だった。けれど一度認知してしまったやすなにとって、それはもはやどうにもできない事実として、彼女の目の前に大きく横たわっていた。
       やすなの乳頭は、右と比べ、一センチほど浮いていた。それが生まれつきでないことを、やすなは誰よりも深く知っている。
       身体が大きくなるにつれて、乳頭も伸びるものなのだろうか。頭に浮かんだ疑問を、やすなはすぐに否定する。女友達のあいだで、そんな話は聞いたことがない。それに保健の教科書にだって、そんはことかいてなかった。
       もちろんやすなは、保健の教科書の不確実生を知っている。セックスの事実だって、保健の教科書は上手に教えてくれない。一番大切で気持ちの良い部分を、大人は黙って何も言わない。まるでそれが神への冒涜であるかのように、あるいは、秘密の果実であるかのように、誰もが当たり前のように口を閉ざしている。
       それでも──。
       やすなは思う。それでも私の身体の異常は、そういった大人の秘密とは、根本的に違うものなんだと。
       これはどういうことだろう。
       鏡のなかに映るやすなの乳頭は、薄い桃色をまとい、その存在を静かに示している。
       ヘアドライヤーの騒がしい音だけが、そこには確かに響いていた。

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