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- 2011/10/24 4:42
- やなかわ少年記NO.32
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- 小学生とは筆箱に異常な程執念を燃やす生き物である
小学五年生の頃であった。思春期を二歩手前に控え、自我が少しずつ芽生えてくるこの時期にクラスでカンペンケースなるものが大流行した時があった
大きめで削ってない鉛筆が収納でき、ランドセルからカンカン響く金属音が妙に心地良い
色彩々にガンダムや仮面ライダー等人気キャラが表面を飾り、あらゆる個を表現する媒体の一つとなっていた
そんな中、親がハチミツ並に甘いツトムがとんでもないカンペンケースを学校へ持ち込んできたのである
それは見たこともないキャラクターがただ野球をしているイラストが施された一見なんの変哲もない筆箱であった。しかしその秘めたポテンシャルの高さたるやまさに驚愕の二文字であった。蓋を空けた時に、この筆箱の能力が顕著に現れた。中にはバット型鉛筆キャップと金属製のボールが同梱され、中敷きをグランドに見立ててあり、アウト・ヒット・ホームランなどのカラフルな文字が踊っていた。それはまるで野球盤を彷彿とさせるような…いやもうこれまんま野球盤だろ!!という位クオリティーの高いミニゲームが内蔵されたカンペンケースであったのだ
「なんじゃこりゃ~!!」おそらくクラスの半数の生徒が叫んだであろうほど、このカンペンケースはみなに大きな衝撃を与えた
ある生徒いわく
「日本の夜明けぜよ!!」
またある生徒いわく
「インクリメンタルイノベーションだ!!」
その人気たるや、どんなに寒い日でもどんなに雨の日でも必ず毎日一輪車の練習をかかさなかった小柴が、練習をサボりゲームの順番待ちに並んでいたほどのものであった
この革命的とも言えるカンペンケースを見た時、僕は運命の様なものを感じていた。これぞ11年間捜し求めていたもの。いやもう財宝。これは僕のためにあるカンペンケースだ!!僕はどうしてもこれを手に入れたいという激しい衝動に駆られた。これほどまでに物欲が生じたのは、半透明でラメが入った悪魔将軍のキン肉マン消しゴムを見た時以来であった
その日は道草もほどほどに食べながら、脇目もふらず帰路についた
帰るなりランドセルを放り投げると真っ先におかんの元に向かった
「お母さん俺バリ勉強するけん、筆箱が欲しか!!今日ツトムがバリすごか筆箱ば…中略…ね!!ね!!買ってばい!!」
カイジでいうところの「圧倒的懇願狙うは奇跡」であった…しかししかし起きない!!
- 小学生とは筆箱に異常な程執念を燃やす生き物である