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- 2011/4/13 0:43
- 【みずたまり】第5話
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- 店を出ると、外は雨上がり。
湿気は相変わらずだ。
先輩は、私を家まで送ってくれた。
「それじゃあ、またな。本当に一人で大丈夫か?」
“一緒に居て欲しい”とか、“怖い”とは言わなかったし、笑ってはいたけど、私の雰囲気や仕草で、畏怖を悟った優しい先輩は、しばらく私の部屋に居てくれた。
ジャズを流して、アロマディフューザーのスイッチに手を伸ばした。
「ちゃんと聴いてくれてたんだ、アルバム。」
「気に入って毎日、聴いてるんです。でも、そろそろ返しますね。」
「いつでもいいよ。飽きたらまた、違うアルバム貸すよ。」
轟音と共に雷が光った。
激しい雨が窓に打ちつけている。
私の精神状態と一緒で、空も不安定だ。
我慢していたのだが、涙が溢れてきた。
「どうした……」
「わからないんです…自分でも。」
心配をかけまいと、平静を装っていたのだが、崩れてしまった。
私の頭を撫でてくれた。
「私、生きてても、ふわふわと浮いてるみたいで…どうしちゃったんだろ……。不安で…不安で仕方ないの。」
先輩は、抱きしめてくれた。
何も言わずに。強く強く。
かける言葉が見つからなかったのかもしれない。
それとも、見抜いてた………?
だから、独りにしなかったの?
今にも消えそうな灯のように、弱くなってしまった私の魂を、貴方はそっと包み込んで守ってくれている様だった。
【………つづく………】
- 店を出ると、外は雨上がり。