瓏騎さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
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- 2012/8/12 6:52
- 惜別
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- 何となく生まれてきた。
気付いたら周りには沢山の人が居て
暖かく見守られてきた。
物心が付く頃には祖母は優しく僕に微笑んでくれていた。
生きていれば得るものばかりではなく失うものもある。
いや…失うもののほうが多いだろう。
祖父には何も伝えず老人保健施設から連れ出した。
祖母と対面させた祖父を見て胸の痛みを抑えることが僕には出来なかった。
涙のヴェールが僕の世界を歪めた。
一生懸命に生きようと走り回る姪たち…
一生懸命に生きてきたねと肩を落とす大人たち…
2つの光景を重ねて切なさを噛み締めた。
自由に生きた中でも自分の出来る精一杯をぶつけて生きてきた。
その人生は失敗ばかり詰め合わされた。
人はどこまで失敗を積み重ねたら報われるのかを手探りで探してきたような気がする。
小さくなった祖父の身体。
小さくなった祖父の手…
中指には薬指では止めておけなくなった結婚指輪が淋しく光っていた。
亡くなった祖母の左手の薬指にも…
お世辞にも仲が良いとは言えなかった祖父と祖母も離れていれば互いを気遣っていたことを思い出すと涙が零れ落ちた。
何十年と連れ添った愛する人を想う気持ちと失う気持ち…
僕には耐えられるだろうか…
愛する人との永遠の別れを受け入れることが出来るだろうか…
『ばあちゃん…楽になれたんだなぁ』
そうして涙を流す祖父を見て
僕はこれから愛する人のために何処まで何が出来るのだろうか…
祖父の震える小さな背中を見て僕は目の前に在る大切な人たちの幸せを祈った。
- 何となく生まれてきた。