宵闇 零さんとモバ友になろう!
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- 2016/2/14 22:09
- 【バレンタイン掌編】
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その人は、窓の外を眺めて、ぼんやりしている。
或る日曜日の昼下がり。
街外れの丘の上にある眺めの良い或る喫茶店に、その人を呼び出したのは私自身だ。
「零さん?」
呼びかけると、彼女は慌てて此方に向き直った。
「あ…すみません。」
律儀なその人は、呼び出した張本人を前にして余所見をしていたことを詫びる。
「構いませんよ。…何か面白いものが見えましたか?」
「えっと…この場所って、町全体を見渡せるじゃないですか。だから…こう、町の構造というか、地形なんかが見えて、面白いなって…」
嗚呼、どうしようもないな。
その人の、そういうところが。
何にでも興味を示す、曇りのないその瞳が。
その素直さが。
嗚呼、どうしようもなく好きなのだと。
「気に入っていただけたようですね。」
「ええ、とても。」
彼女がこちらを向いて微笑む。
願わくば、もう少しだけ、
曇りない目の先の、彼女の意識を。
此方に向けていて。
傍らの空席に置いた、ペイルブルーの紙袋にそっと手を伸ばす。
その中に入っているザッハトルテに託して、
今日も貴女に伝えよう。
バレンタインデーに、そのくらい浮かれても、罰は当たらないでしょう?
*
赤髪の白雪姫の読み過ぎで作者の頭が沸いている(ジト目
お久しぶりです
日記の更新が約1年ぶりとか信じらんない