雪騎941Xさんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
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- 2007/12/30 23:36
- 夕焼けセレナーデ(2)
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- 雑誌の発売日、例の迷惑な友達が雑誌を買って家にやって来た。
「お前、いいじゃん。すごいサマになってんぞ?」
「知るかよ。こっちは大変なんだよ」
「はははははっ」
俺の苦情は、思いっ切り笑う飛ばされた。本当に酷い奴だった。
「それにしても、この女の子かわいーな。俺が応募すりゃあ良かった」
「お前じゃ受からねえよ」
「言いやがったな、こいつ!」
次の撮影でも、また俺と瀬恋那が表紙だった。その日瀬恋那はなぜか、前のような元気がなかった。カメラへの笑顔も、少しぎこちなかった。
「どうしたんだ?今日元気ないね」
撮影が終わってから、俺は瀬恋那に声をかけた。
「うん……ちょっとね」
瀬恋那はそう言うと、小さく笑った。
「ねえ、今から時間ある?」
「うん。どうせ暇だし」
「ありがと」
瀬恋那は、俺を洒落た喫茶店に誘ってくれた。俺は訳が分からないまま、とにかく瀬恋那について行った。
「ごめんね。急に誘ったりして」
「いいよ。別に」
店員がやって来て、瀬恋那はカフェオレを、俺はアイスティーを頼んだ。
「今日元気なかったのはね、…妹が、交通事故で死んだんだ」
「え…?」
「一昨日の夜…事故っていうか、ほとんど轢き逃げだったみたい」
「は?何でこんなことしてんだよ?お葬式は?」
「行けないの。一緒に暮らしてないし、親が違うし。血は完璧につながってるけど、縁は切られてるし…」
「そういうことがあったのか…」
俺は少し瀬恋那が可哀想になった。
「もう十何年も会ってないんだよ。親はあの子がどこにいるのかも教えてくれないし、…あの子が死んだのも、新聞で見て分かったんだから」
瀬恋那は泣いていた。
「彩葉のこと…大好きだったのに…たくさん会って、いっぱい話したかったのに…」
机にぽとぽとと涙が落ちた。瀬恋那は声を殺して泣き続けた。
- 雑誌の発売日、例の迷惑な友達が雑誌を買って家にやって来た。