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- 2008/5/28 11:12
- 小説 憎悪!
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ふぅ~。独りため息をつきながらバソコンを閉じた。「人は憎しみを抱えたまま生きていけるのか………」
あのイエスキリストはこう言った。
「主よ。この者達を許し給え。自分達が何をしているか知らないのです」と。
「許しかぁ………」
そう静かに呟き、窓の外を眺めた…………。
第1章 回想
ピピピピッピピピピッ!
アラームが鳴った。
竜二は眠い目を擦りながら携帯のアラームを止めた。
彼はおもむろに着替えを済まし、出勤の準備を支度する。
終える間際に、隣で寝ていた和美に声をかけた。
「行って来るよ。」
優しい言葉とキスをし、出掛ける。和美は気がつかないのかグッスリ眠っていた。
まるで死んでいるかのように…………。
彼、宮崎竜二は刑事である。数々の事件を取り扱うベテランだ。
あの警察庁長官暗殺未遂事件の犯人も彼が逮捕したのである。
しかし、出世せず平刑事にいるのには一つ問題があった。
彼の精神的問題である。宮崎竜二には幼い娘、美春がいた。生きていれば小学生になっていただろう。和美と三人仲良く暮らしていたが、二年前に交通事故で亡くした。それ以来、妻との関係もあまり無い。離婚話しさえするのも面倒になっている。
だが、お互いに一緒にいなければならない気持ちがあった。何故かは判らないが、きっと同じ悲しみを持つのは二人だけと思っていたのかも知れない。「娘さえ生きていてくれたら…………」
何度も何度も思った。
もし時間を戻せたなら、傍に居て助かった、いや、必ず助けたのだ、と。
自問自答を繰り返す日々を続けていた………。
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