M*nさんとモバ友になろう!
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- 2016/1/22 19:52
- ■□ロルsample□■
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「 ……僕はもう此処に住んで長いから平気だ。
君は此の土地の暑さにまだ慣れていないんだから、
素直に受け取っておきなさい 」
(一歩外へ出た途端、ムワッとした重苦しい夏の熱気が全身に纏わりついた。其の不快感を眉間に露わにしつつ戸締りをしていると、横からメモを渡されて鍵を差し込んだまま覗き込む。可愛らしくも、急いで書き込んだらしい字で綴られていたのは己を慮る内容だ。確認した直後、目許の力をふっと緩めて微かな笑声を漏らす。一文の裏に姪の不器用さが込められているような気がして。置かれた状況の所為だけではない、他人に気を使い過ぎる性分の生き難さみたいなものを無意識に嗅ぎ取ってしまったからである。重度の職業病だ────。此方を見上げてくる姪へ穏やかな声で返したのち、ゆるりと歩き出し)
「 今のうちからそんなに気を使ってばかりだと…
っと、蚊が凄いな………億劫になってしまうぞ、 」
(伸び放題の夏草のなかへ進み、飛び交う蚊を足でよけながら敷地外に出る。駅へ続く通りは閑散としており、盛りの頃と比べて勢いの無い蝉時雨だけが優しく響いていた。やや遅れて隣に立った姪のペースに合わせて、高い塀沿いを歩く傍ら『 生きていくことが 』と、唐突に、先程切った言葉を繋ぐ。其れが彼女にとって答えようの無い意地悪な台詞である事も充分理解していれば、返事を待たずに更に先を続け)
「 せめて家に居る時…家族と居る時くらいは肩の力を抜いた方がいい 」
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