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    • 2009/7/19 14:45
    • 陽だまりの詩
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      何かを好きになればなるほど、それが失われたとき、私の心は悲鳴をあげる。
      この幾度も繰り返される苦しみに耐えて残り時間を生きていかなければならない。
      それはどんなに過酷なのだろう。
      それならいっそのこと、何も愛さない、心のない人形として私は作られたかった……。

      でも、今、私は感謝しています。
      もしもこの世界に誕生していなければ、丘に広がる草原を見ることはなかった。
      心が組み込まれていなければ、鳥の巣を眺めて楽しむことも、コーヒーの苦さに顔をしかめることもなかった。
      そのひとつひとつの世界の輝きにふれることは、どんなに価値のあることでしょう。
      そう考えると、私は、胸の奥が悲しみで血を流すことさえ、生きているというかけがえのない証拠に思えるのです……。

      感謝と恨みを同時に抱いているなんて、おかしいでしょうか。
      でも、私は思うのです。
      きっと、みんなそうなのだと。
      ずっと以前にいなくなった人間の子たちも、親には似たような矛盾を抱えて生きていたのではないでしょうか。
      愛と死を学びながら育ち、世界の陽だまりと暗い陰を行き来しながら生きていたのではないのでしょうか。

      そして子供たちは成長し、今度は自分が新たな命をこの世界に想像するという業を、背負っていたのではないのでしょうか。


      ───『ZOO/乙一』(集英社文庫)より



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