夢丘彩子さんとモバ友になろう!
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- 2017/3/23 23:38
- 第19話:つれてって(343)
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- アンジーはその和やかな光景に安心感が満たされてゆくのを感じた。
サーニンはグレアムを起こさないように小さな声で
「グレアムがね・・・そのうち・・・きっと! ピアノで弾いてくれるって! 『カッコー鳥』って曲!」
と、アンジーの目を真っ直ぐ見つめながら言った。
グレアムが眠るまで二人はクークーの事を話していたのだという。
“OH・THE・CUCKOO(オー・ザ・クークー)”
曲の始めと終わりで・・・そう歌われる。
『それじゃグレアム。』
と、サーニンが言う。
『それじゃグレアム・・・。クークーはボクの所へ・・・駆け出したんだね。』
その言葉を聞いたグレアムは何と答えていいのかわからず戸惑った顔でサーニンを見つめていた。
『じゃあグレアム・・・クークーがまだどこかに・・・いるとしても・・・。クークー・・・ひとりぼっちで怯えたままうずくまってなんかいないね!』
『クークー。呼べば・・・ボクの所へ・・・来れるんだね。』
朝・・・グレアムが「もういい」と言うのでサーニンはエルを預けたクラブへ行った。
昼前にグレアムがマスターとの約束だから「トリスタン」の大掃除を手伝いに行った。
5時までに帰ると言った。
帰って来ると・・・。
サーニンは雪の中、エルを走らせながらクークーの事を考えていた。
雪の中、クークーの姿をサーニンは思い浮かべる。
クークーは振り返る。
振り返る・・・。
(笑顔で・・・)
『おいで!』
振り返る・・・!
(あの夏の輝くような笑顔で!)
『おいで! クークー。』
サーニンは虚空に浮かぶクークーに向かって話しかける。
『ボク、君がうまく話せなくても大丈夫な様にと・・・ボク、話せる様になろうとしてるんだよ。パムやジャックにもボクの気持ちがわかってもらえる様な言い方でと・・・。そしていろんな人とも・・・』
『それに・・・君が笑える場所を探していろんな所、見にも行ってるよ。』
『それから・・・それからボクに何を望んでるの?』
『ボクに見せてよ! ボクと話そうよ! クークー!!』
- アンジーはその和やかな光景に安心感が満たされてゆくのを感じた。