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    • 2017/3/22 23:24
    • 第19話:つれてって(342)
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    • 牧師はまだ生タヒの境を彷徨っていたのだけど、その夜グレアムはやたら素直だった。

      グレアムはパムが編み上げたばかりのセーターに手を通し暖炉の側でココアを飲み、夕食も出された物を全て食べた。

      それでも牧師の容体が気になるのか何度もフォークを落とし、見かねたマックスに肉を切ってもらいながらも全部食べた!
      久々に。

      フォークを落としながらも・・・



      夕食が終わり食器を下げたサリーがパムに

      「本当に・・・だんな様はちゃんと診て下さっているんでしょうねグレアムの手。筋でも痛めてるんじゃないですか? あの左手。」

      と、言った。

      (左手?)

      食器を洗っていたアンジーはその言葉が妙に気にかかった。

      パムも心配そうに

      「ええ・・・。私も気にはなっていたのよ・・・包帯がとれてからも時々弾かれた様に物を落として・・・。」

      と、答える。

      アンジーは最近のグレアムの様子で思い当たる節があったのにハッとした。

      (左手?)






      グレアムはサーニンの部屋を訪ね

      「サーニン。今夜はボクの側にいてくれないか?」

      と、たのむ。

      「以前・・・言ったろう? もし狼が来たら・・・呼べば来てくれると・・・。」

      サーニンは

      「うん! いいよ!」

      と、嬉しそうに快諾する。

      グレアムは少し誇らしげに穏やかに微笑んだ。





      アンジーは昔、グレアムが起こした発作を思いだし、食器洗いもそこそこにグレアムの部屋へ急いでいる。

      『ちぎれてしまうよ。左手・・・ちぎれてしまう。』

      (グレアム!)

      アンジーはグレアムの部屋のドアを[カチャ]と開けた。

      (けれど・・・)

      (オレが行った時はグレアムは眠っていた。)

      サーニンはグレアムのベッドの側に座り人差し指を口に当てて静かにするようにジェスチャーで伝える。

      (安心しきった顔をして・・・)

      (無防備な姿で・・・)

      アンジーはドアを開けたままその様子を見ていた。

      (左手をサーニンに預け・・・)

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