ひよこびんさんとモバ友になろう!
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- 2014/5/16 11:26
- 未来はきっと⑥~幕恋
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おばあちゃんは冷たい麦茶と
ちょっとした和菓子をご馳走してくれた。
おばあちゃんとは初対面だったんだけど、
親しみやすくて話しやすい人だった。
後輩の彼が嬉しそうに言う。
「先輩に、おれのばぁちゃんと会わせてみたかったんスよ」
「そうなの?」
「こんな可愛いお嬢さんなら、いつでも歓迎よ。
昔のアルバムでも見てみる?」
おばあちゃんが若い頃の写真を見せてくれた。
「わたしも若い頃は可愛いかったのよ」
「えぇ。なんて…いうか…」
若い頃のおばあちゃん、すごく自分に似ているような…。
すると、おばあちゃんが何かを思い出したかのように
立ち上がった。
「お嬢さんに見せたいものがあるわ」
「?なんですか?」
おばあちゃんは奥の部屋のタンスから、
ボロボロの箱を出してきた。
「あなたを見ていたら、なぜか思い出したのよ」
そう言って、箱の中身を見せてくれた。
赤い…ぬの?
おばあちゃんが説明してくれる。
「先祖代々、大事にしなさいって言われてきたものなの」
これって…、まさか…。
「でもね、不思議なのよ。まるで今の高校生の制服についてる
スカーフみたいな生地なの」
あたしの心臓がバクバク音を立てる。
もしかして…、もしかして…。
「女の子が来たら、聞いてみたかったのよ」
あたしが…、慎ちゃんに、あげた…。
あたしは自分でも緊張しついるのが分かる。
「あのっ、これ、ちょっとだけ触ってみても、いいですか?」
「普段は触らせないんだけどね。あなたならいいわよ?」
あたしは手の震えをおさえながら、そっと赤い布に触れる。
その瞬間、後輩の彼が叫ぶ。
「せ、先輩!ポケットの中が!光ってますよ?!」
あたしは右のポケットに、猫のキーホルダーを入れていた。
そのキーホルダーが強い光りを放っている。
これって…!
そうだよ。
そうだったんだ!
行かなきゃ。
慎ちゃんの所に…!!
「ごめんなさい!急用を思い出したので、失礼します!」
「え?あっ、先輩?!」
あたしはペコンとお辞儀をして、彼の家を後にした。
急いで家に帰る。
制服に着替える。
ありったけのおこずかいを財布に入れる。
家の救急箱から消毒薬やら包帯やらを取り出す。
竹刀を握る。
これも必要になるかも。
「そうだ…」
おじいちゃんの部屋に行く。
床の間に飾ってある日本刀を手に取る。
「ごめん、おじいちゃん!借りるね!」
走って駅に向かう。
新幹線に飛び乗る。
つづく