ひよこびんさんとモバ友になろう!
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- 2014/5/16 11:11
- 未来はきっと③~幕恋
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結局、ご飯が終わってからも彼に話しかけられずにいた。
さりげなくカナちゃんに彼の名前を聞いてみたけど、
慎ちゃんとは全然違う名前だった。
その日の午後の練習が終わって、自由時間になった。
あたしは例の神社へ足を運んだ。
あの猫のキーホルダーを持って。
実は昨日も来たんだよね。
だけど、何も起こらなかった。
縄を揺らしても、なでてみても、何も変わらない。
今日も自由時間になったら
試してみようと思って来てみたんだけど。
やっぱり何をしてもダメみたい。
あたしは神社の階段に座りこんだ。
「はぁ~…」
ため息をつく。
もう、あの時代に戻れないのかな。
「なんで?なんで戻れないの?…お願い…。
会わせてよ…」
もしかして、あたしは長い長い夢をみていたのかな。
今まであったこと、ぜんぶ夢だったのかな。
目に涙があふれる。
ここで泣いたら、あきらめたと同じことになっちゃうよ。
そんなのイヤだ。
あたしはぐっと涙をこらえる。
「慎ちゃん…」
その時、後ろに人の気配がした。
「あの…、先輩?」
ふりかえると、あの新入生が立っていた。
あたしは涙をふいて慌てて立ち上がる。
「あ!な、なに?!」
「女子剣道部の先輩ですよね?姿が見えたので」
そう言った彼の顔を見て、はっとする。
やっぱり。
慎ちゃんに、似てる。
少し幼い顔立ちだけど、どこか芯の強さを感じる。
まっすぐにあたしを見つめる瞳のせいかな。
あたしは慎ちゃんに見つめられているような
錯覚をおこす。
「先輩?大丈夫っスか?」
彼にそう言われて我にかえる。
「あ、ごめん。何か用だった?」
「先輩、泣いてるみたいに見えたんで…」
「な、泣いてないよ!」
恥ずかしい!
見られてた?!
もしかして、神社のまわりをウロウロしてたのも?
かなり怪しい人だと思われたかも?!
「目が赤い…っスよ?」
「そんなことないよ!全然、元気だって!」
あたしは慌てて笑ってごまかす。
「あ、ほらほら!もうすぐ自由時間がおわっちゃうよ。
戻らなきゃ」
つづく