日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
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- 2010/4/12 23:31
- 暇潰しに書いてみた
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- 夜の街が似合わない青年がある店にいた
多分周りの親父共に無理矢理連れられてきたんだろう
そわそわし喋ろうとはせずもっぱら愛想笑いばかり
「大丈夫?楽しんでる?」店の子が聞く
「大丈夫です」とにっこり笑いながら答えた
余り来ないタイプの客に店の子は興味を持った
たわいのない話しが延々と繰り返される
でも青年はそれが嬉しかったのか店にきた当初の面影はなく喋りつくす青年がいた
青年は店の子と携帯のアドレスを交換し店をでた
次の朝携帯からメールの着信音が流れる
細い腕が携帯に延びる、女は携帯を開いた
青年からのメールだった
女はメールを返した
あれから二週間毎日メールがきている
女はいい加減うんざりしていた
でも無視するわけにもいかず短いながらにも返していた
ある日青年からメールが来ない日があった
女はホッとして自分の時間を過ごした
次の日もまたその次の日もメールは来なかった
青年からメールが来なくなって三週間がたった
女は自分から送ってみた
だけど返って来なかった
そんなある日青年と一緒に来ていた親父共が店に来た
女はさりげなく聞いてみた「この前来た子は来ないの?」
「あ~あいつかぁ・・」一人の男がそう言ったきり口を閉ざした
そして皆の目を見渡していた
違う男がようやく口を開いた
女が想像していた事より衝撃な事実だった
青年が孤児だった事
そして給料を施設に振込んでいる事
この前仕事中に倒れた事
そして心臓病だった事
女はあまりの事に声がでなかった
代わりに涙が頬を濡らしていた
次の日女は病院にいた青年が入院している所だ
病室にはいると青年は眩しい笑顔をみせた
「すいません、また行くと言ったのに行けなくて」
人の事を気にしてる場合じゃないのに人の事を気にする青年に女は心を締め付けられる気がした
「いいよ気にしないで」精一杯の言葉だった
「俺もうすぐ死ぬんです」青年はなにもかも知っているような笑顔をみせた
女は慰めの言葉はかけられないと悟り「何かしたい事ないの」っと聞いた
青年は「桜吹雪が舞う下で静かに寝たい」っと言う
ある日女は青年を連れて桜の木の下にいた
何も言葉はない
それでもお互いに幸せそうな顔をしていた
青年は静かに目を閉じた
女は静かに涙を流していた
そんな二人の周りを桜吹雪が舞い踊っていた
- 夜の街が似合わない青年がある店にいた