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    • 2017/3/14 4:39
    • 紫陽花水晶
    • コメント(6)
    • 閲覧(31)
  • "アバター"
    • それは豆粒サイズの
      小さな小さな水晶だった

      泥塗れの土の中から
      掘り出され
      外界からの干渉を
      頑なに拒むかのように
      薄汚れ
      全く光っていない
      ただの石

      けれど本当は
      まるで紫陽花のように
      美しく色を変え
      朝露のように
      透明で清らかな光を
      発するコトができるのに……

      自ら殻を閉じて
      泥に塗れる事を選んでた

      誰にも拾われないよう
      触れられる事さえ
      畏れ嫌悪し
      何ものをも
      寄せつけたくなかった

      そうしてまるで
      路傍の石の如く
      ただじっと動かず沈黙し
      何者でも無い
      自分で居たかった

      水晶の殻は
      哀しみや痛み
      そして幾分かの怒りさえ伴って
      ひたすら厚みを増し
      自身の光を
      内側へ内側へと閉じ込めていた

      長い長い
      本当に長い年月
      水晶は薄汚い泥の中で
      あまりに多く苦しみ
      傷ついて来た

      だけど彼女自身は全く
      気づいていなかったけれど
      それゆえ逆に
      類い稀な優しさを
      その内側に
      育んでもいた

      ある時
      厚く覆われているはずの
      殻の外側で
      何者かの悲しみや
      涙の気配が
      微かに伝わって来た
      心の痛みを伴う波動に
      彼女はあまりにも敏感だったから
      そんなモノは無視して
      ほって置けばいいのに
      どうしても水晶は
      そうできなかった

      だから少しだけ殻を開いて

      大丈夫?

      と声をかけてしまった

      そのたった一言が
      どれほどの温かみを帯びた
      優しい響きを伴って
      相手の心を癒したのか
      冷たい水晶自身には
      全くわからなかった

      その言葉に導かれ
      紫陽花水晶を手にした彼は
      厚く覆われた殻の隙間から
      溢れる出る虹色の輝きに…
      その美しさに…
      目をみはった

      そして彼は小さな水晶を
      やはり泥に塗れた
      手の平に救いあげ
      ヒビ割れた殻を
      少しずつ拭い取り
      そっと摘んで
      水晶を陽に透かしてみた

      七色に輝く太陽が
      あたたかな光で
      小さな水晶のカケラを
      包み込む

      すると紫陽花色の雫が

      ぽとり…

      と垂れて
      彼の涙と
      混ざり合った


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