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    • 2015/1/1 21:17
    • あけおめです。自分用メモです
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      ひとつ、こんな話がある。


      私は、旅をしていた。

      優しくなるための、旅。

      ある日、砂漠で食べものに困っている商人がいた。

      私は、優しくなりたかった。

      だから、私は食べものをあげた。

      商人の礼目当ての下心だろうと罵られても、構わなかった。

      きっかけは、何でも良いと思ったのだ。

      それが下心でも、意図的でも。

      始めることが、大切で。

      積み重ねれば、いつかは見返りを求めず反射的に出来るようになることを信じていたから。

      私は、優しくなりたかった。

      だから少し迷ったけれど、私は差し出した。

      食べものを受け取った商人は、ありがとう、と言った。

      数日後、またその商人に会った。

      商人は、今度は着るものを求めていた。

      けれど、私の着るものに予備はなかった。

      私は、優しくなりたかった。

      私は迷わず、着るものを脱ぎ手渡した。

      着るものを受け取った商人は、申し訳ない、と言った。

      数日後、また同じ商人に会った。

      商人は、今度は飲みものを求めていた。

      私の手は、気付けば私の飲みものを渡そうと動いていた。

      けれど私には、もう飲みものはなかった。

      商人は、前はくれていたのに、と私を罵った。

      私は、優しくなりたかった。

      だから、優しくなった。

      下心でもなく、意識的でもなく、優しく出来るようになった。

      そして、気がついた。

      お腹が空いても、食べるものがないことに。

      寒さに震えても、着るものがないことに。

      喉が乾いても、飲むものがないことに。

      そしてそれを求めることが、自身の優しさに反することに。

      私は、旅に出ようとした。

      優しさが何なのか、わからなくなっていた。

      しかし、旅には出られなかった。

      商人が、まだ砂漠にいたからだ。

      私が商人を気にかけたところで、商人が私を気にかけることはない。

      それでも、私は優しくなりたかった。

      けれど私は優しさに、優しくされなかった。

      それだけの、ありふれた話だ。
       

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