グラウトPさんとモバ友になろう!
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- 2011/6/17 12:58
- 鳩の王さん
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- 地震から三ヶ月が過ぎ、仙台の町並みは、ほぼ元の姿に戻りつつある。
が、津波の被害に遭った海沿いは、今だ瓦礫や、ひっくり返った車が散乱している状態だ。
先週から乗り込んいる現場は、そんな海が目と鼻の先にある港だ。
辺りを見渡すと、鉄骨だけを残した建物や斜めに立ち並ぶ電柱や街灯しかない。
当然、電気も水も来ていない。
そして、何かが醗酵した様な異臭が鼻を突き、蠅がそこら中を無数に飛び交っている。
そんな場所で最近、一羽の鳩と知り合った。
最初に見つけた時は、微動だにせず、何処から流されて来た置物だと思っていた。
仕事するのに邪魔なので退かそうと近づくと、突然それは動き出した。
よく見ると羽は逆立ち、片足は失くなっている。
辺りは糞だらけで、ここを寝床にしている様だ。
「災難だったな、オメェもよ」
哀れんだ目が気に入らなかったのか、一本足を器用使い凛々しい姿で、こちらに姿勢を返すと対峙する角度のせいか睨みつけられた感じがした。
「ワリィ、邪魔したな王さん」
とっさである。
単純に一本足を見て、王さんと呼んでしまった。
鳩は少し首を傾げ、また姿勢を変えていた。
作業する場所は他にもタンマリあったので、鳩の寝床は後回しにして別の場所へと移動した。
休憩時間になり下に降りて来ると、王さんは外で羽根を広げ飛ぼうとしていた時だった
とたん
羽根は、ダラリとしながら畳まれた…
何度か、それの繰り返しをしている。
どうやら飛ばないのでなく、飛べないらしい。
こちらの気配に気づいた王さんが、また睨みを効かせて来る。
飛べない負い目か、見られる事が嫌いなようだ。
気持ちが分かる…
俺もそうだ。
多分、心配されるのも嫌いなはずだ。
それから、チヤホヤされるのも嫌いだと思う。
後、上から目線な応援とかな。
だからと言って、全く気に掛けられないのも気に入らない。
俺は、そうだ。
なので俺は毎日、離れて応援をしている。
気に掛けると言っても、朝と晩に挨拶程度だ。
頑張れ王さん。
オメェの羽根が広がる限り、必ず飛べるはずだ。
そんで、とっとと寝床を代えて俺に仕事をさせてくれ。
じゃねぇと、そろそろトシにどやさせる
んでまず
- 地震から三ヶ月が過ぎ、仙台の町並みは、ほぼ元の姿に戻りつつある。