クロりんさんとモバ友になろう!
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- 2009/11/13 7:14
- 東方SS(10)
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- そしてわたしは、わたしの行いを後悔する。
彼に口づけたことではなく。
彼を横たえる前に、襖を開け放しにしていたことを。
「――――れい、せん……?」
鈴の鳴るような、小さな声。
しかし、どこか絶望の色を感じさせる、震える声。
開け放していた襖が、かたっと音を立てる。
「ッ――――!」
咄嗟に、彼と触れ合わせていた唇を離す。
その行動に、意味がないと解っていながら。
開け放された襖の向こう側には――赤く照りつける日輪を背に、襖に手を掛けたまま固まる、姫様の姿があった。
その表情は、赤い逆光のせいで、窺い知ることができない。
その心情は、彼女よりずっと短い年月しか生きていないわたしにも、察することはできたけれど。
「……どういう、ことなの?」
彼に覆い被さるわたし――。
弁解の仕様のない、「イナバ」の行動を目の当たりにしたというのに、幼子に語りかけるよう、静かな口調で問うてくる。
それでも、動揺を完全に隠し切れてはいないことは、わたしの目にも明らかだった。
- そしてわたしは、わたしの行いを後悔する。