†IZO†さんとモバ友になろう!
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- 2009/6/13 1:18
- 見えない、という光
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- 医師の朝は早い。
歯をくいしばって起きて、ワイシャツのボタンを留めながら、ぼーっとテレビを見る。実習が始まるまでは徹夜明けにしか見ることのなかった情報番組を毎朝見る。
星座占い最下位の人に対して「ごめんなさーい」と謝ってる人がいる。あなたは何も悪くないのに。
ここ数日、朝のニュースで最もホットな話題がピアニスト辻井さんの快挙。
本当にすごい。
目が見えない「のに」と言うことを敬遠する人がたくさんいる。「盲目の」というフレーズを添えるマスコミを毛嫌いする人もいる。
確かに目が見えていても、見えなくても、世界的なピアノコンクールで 優勝したという快挙は確かに同じかもしれない。
でもやっぱり僕はスゴイと思う。成し遂げた結果に違いはないとしても、それを達成するのに必要な努力は辻井さんと皆とは同じではないだろう。
差別的だといわれるかもしれないけれど、僕は、「目が見えない」辻井さんが成し遂げたことに強い衝撃と感動を覚えた。
会見で、ある女性が辻井さんに質問をした。
「1日だけ目が見えるとしたら何をしたいか。」
辻井さんの目は先天的な障害だ。人生で一度も目を通じて外の世界を眺めたことのない彼に投じたこの質問。はっきりいって健常者である自分たちには目が見えない人の気持ちは分からないと思う。とてもじゃないが、「分かる」などと簡単に言えない。
『どんな気持ち』で生活をして、『どんな望み』をもっているのか。
だから、
「もし目が見えるとしたら」
その質問の答えは確かに知りたい。でも、それは決して聞いてはいけない質問だと、好奇心より強い何かが判断する。
見えることが当たり前だと自認してしまっている自分が、
「見たくても見えない。見たことのない」人たちに決して
してはいけない質問だと、自分のためもしくは人のためと思って作りあげた倫理感が勝手に決める。
おなかを空かしている子供に
「もし、おなかいっぱい御馳走が食べられたらどうする?」と、満腹の大人が聞けるだろうか。
「1日だけ目が見えるとしたら何をしたいか。」
その文字数に対し、あまりにも重いその質問に辻井さんは答えた。
「一番見たいのは両親の顔。そして友達の顔や星、海や花火も見てみたい。
でも、いまは心の目で見ているので十分満足しています。」
彼は決しておなかを空かした子供では無いし、
僕たちは満腹の大人でも無かった。
- 医師の朝は早い。