林檎さんとモバ友になろう!
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- 2015/9/30 2:16
- 【月光祭】☆そらちゃん絵へイメレス☆ 終
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- 思った通り、小娘は台所にいた。
後ろ姿に呼び掛けると、驚いたようにこちらを振り返る。
しかし私が「急ぎの文が届いた。これからすぐ出かける」と
短く用件を告げると、その様子がすっと変化した。
「もしかして、何日か戻って来られへんのですか?」
「おそらく、そうなるだろうな」
ほんの僅か――私でなければ気づかぬくらいの小さな変化だ――
小娘の表情が曇る。
しかしそれはすぐに顔から消え去り、小娘は私を見て気丈に微笑んだ。
「わかりました。身体に気をつけてくださいね」
その微笑みが、また私の胸を突いた。
さきほどよりも大きく、そして深く。
――敵わんな。
私はついと小娘を引き寄せた。
白い額に唇をつけ、細く柔らかな身体を抱く。
その温もりと香りを頭に刻み込む。
「留守を頼んだぞ」
そう言って私は小娘を手から離し、その場をあとにした。
……見守るが、聞いて呆れるな。
またも衝動に身を任せてしまったことを省みる。
しかし、と思う。
葵を前にして、己の感情から目を逸らせることは―――
この私にとっても、難しい。
これから先も、私はおそらくこんなふうに、また思いもよらぬ行動をとってしまうのだろう。
葵を想えば想うほど。
葵を愛すれば、愛するほど。
―終―
- 思った通り、小娘は台所にいた。