くろぉーばぁさんとモバ友になろう!
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- 2011/12/31 16:19
- きっとさよなら ⑰
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- こうして慣れないルームシェアをしながら、忙しい毎日が始まった。
午前中は不動産屋さんで、午後は学校、夕方からは仕事に行く。
ちょうど年末に向けてお店は繁忙期に入っていたし、たまの休日でも研修があった。
でも、このときばかりは慌ただしさに救われていた。
どうしても彼のことを考えて切なさの中に沈んでしまう。
そんな時間を少しでも減らしてくれていたから。
持ってきた荷物が少しだけだったから、一度彼の家に取りに行かせてもらった。
家を出てからまだ3日後。
少し緊張しながら訪ねたあたしに対して、彼はいつもと変わらない態度だった。
特に冷たくされることもなければ、こないだの喧嘩を持ち返されることもない。
それどころかごはんまで食べさせてくれた。
それは、あの喧嘩の当日に彼が仕込んでいたおでんだった。
“また”おでんの日に怒らせちゃったんだな。
昔のことを思い出しながら食べていると、ダイニングで向かいあっていた彼が
彼「おでんはくろちゃんの鬼門やな」
あたし「…そうですね」
覚えてたんだ。
こんな状況なのに、同じことを思っていたことが少し嬉しかった。
あれは何年前だったろう。
その日はあたしが休みで、仕事だった彼は遅くに疲れた様子で帰宅した。
晩ごはんは前日の残りのおでん。
カレーでもお好み焼でも、彼はいつも一度にたくさん作って2、3日は同じメニューになるのが定番だった。
あたし『すぐにおでん温めるね』
彼『ああ』
大きな圧力鍋の半分ほどあるおでん。
中火にかけたけど時間がかかりそう。
そう思って強火にしたのがいけなかった。
ぐつぐつしてきたとき
彼『は?お前何してんねん。沸騰しとんちゃうんか!』
あたし『え?』
彼『あほか!そんなん食えるか!』
あたし『…すみません』
彼『強火とかありえへん。いらんことしやがって』
すぐに火を消してお皿に盛ってみたけど
彼『だからいらんって言ってるやろ!死ね!』
あたし『…ごめんなさい』
本当にもうおでんには一切手をつけず、インスタントラーメンを作って一人で食べてた。
あたしは少し離れた床に座ってじっと息を潜めてる。
これ以上怒らせないように、何も言わない何もしない。
それ以外にできることがないから。
彼『お前それ全部食っとけよ』
彼は食べ終えるとそう言い残して寝室へ行ってしまった。
- こうして慣れないルームシェアをしながら、忙しい毎日が始まった。