吾妻遊斗さんとモバ友になろう!
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- 2011/8/17 20:55
- 不死身のビーナス②(小政)
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「俺は、いつになったら、強くなれるんだろうな」
「……………」
「いつになったら……――誰も傷つけずに………」
「…………」
その言葉の続きを十分に待ったが、続かなかった。
「夢のような話です。」
「………そうだな、夢を見てる暇は無いのにな。本当に夢のような話だ。」
確かに夢のような話だと、何度も小十郎は思った。
――確かに貴方に全てを守れる強さがあったのなら、誰も死なずに済んだでしょう。
けれど、そんな強さを求めるのなら、あぁ、愚かだ。
――もし、病に倒れる女を癒す力があったなら。
――もし、この戦国の世を終えれる強さがあったなら。
――もし、今にも殺されそうな子供を助ける力があったなら。
――その場にいれば助けられる力を、強さを、貴方が持って、
貴方がそれを全て助けたいと思ってしまえば。
――貴方がその場にいなかっただけで。
――死んだ人間がいるということになるのです。
キリが無いと思う。
誰でも助けることができる強さというのは、そういうことだ。
そんな理想や夢は、確かにあるだろう。
人間が救いを求めて万能の神を作るのは、そんな馬鹿なことが理想だからだ。
されど、この主は。
優しすぎる故に、そんな馬鹿な望みを捨てられない。
人一人が出来ること等、たかが知れていることを、もう、この戦国の世で嫌になるほど知ったはずなのに。
「…もう行きましょう、ここにいてはもうすぐ雨が」
「………そうだな」
己の陣羽織を主の肩に掛け、血で塗れた大地を踏む。
叶わない望み等、見る暇があれば刀を振るう。
それが、自分達に課せられた――。
――それでも、俺達は生きるだけなのだろう。
存在しない、カミサマとやらの加護を受けながら。
END
○あとがき○
守る為の強さを求めていたはずなのに、斬っても殺してもラチがあかない現実に「一体自分は何をしているんだ?」と苦悩する政宗様の話でした(あとがきが必要な文章って………)