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    • 2011/8/17 20:50
    • 不死身のビーナス①(小政)
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    • 『困った時の神頼み』とは、どこの誰だか知らんがよく言ったものだ。
      人間は、自分ではどうにもならない試練や問題にぶつかると無意識に神の姿を思い浮かぶらしい。
      (神の姿がどんなものか知らない癖に)
      神は万能だから何でも出来るものと認識されているからだ。
      世界を創っただか、それを見た奴がいる訳でもないのに何故そう認識されているかが謎だが。
      そして、困難に陥れば神に対しこう言うのだ。
      『神様、お助けを!』
      『神様、後生ですから助けてください…』
      …そういえばどこぞの南蛮野郎が言っていたが、どうやら神とやらは野蛮な人間を嫌うらしい。
      『アナタヒドーイヒトネ!カミサマ怒ルヨ!』
      ………とかなんとか言ってたような気がする。

      どいつもこいつも滑稽だ。笑いがこみ上げる程に。

      見えもしない、いるかどうかも判らない存在に命を掛けてどうする。
      不明確な存在のモノ(しかも人間に対して遺憾無く好き嫌いを発揮するモノ)に許しを請い、
      助けを求める姿が滑稽といわずして何と言うのだ。

      それでも、と。

      それでも、止められないのは、臆病だからだと。
      誰かが言っていたような気がする。



      「…………政宗様」
      「……小十郎か」

      政宗はもう刃先が零れて鈍器に近くなってしまっている刀を手先で遊んだ。
      屍体が積み重なっている地面に立ち尽くしぼんやりと灰色の空を見上げて。
      風は寒いとは言わないが冷たさがあり、その冷たい空気が喉を冷やす。

      「………もっと」
      「……政宗様?」

      血の匂いは不思議に遠いけれど少しでも嗅覚を働かせればきっと脳髄まで届く。
      透き通る更けたばかりの美しい夜の空に隠された地獄を政宗は知っているのに認識しない。
      しなくてはいけないのに、出来ずにいる。

      背中に広がる、自分が殺した屍体の山を。

      「もっと」

      認識しなくてはいけないのに、その勇気が無い。
      神ではないから、万能でも無く、その世界を。
      もっと、もっと    強かったならば。

      きっと、政宗はこんな風に空を見上げずに済んだのだ。

      神は空の上にいるから、空なんて眺めない事と同じように。


      ⇒②に続く

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