朱鞠さんとモバ友になろう!
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- 2013/9/9 19:14
- 島崎藤村
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- 高楼
別れゆく人を惜しむと 今宵より遠き夢路に 我山とはん
妹
遠き別れに 堪えかねて
この高楼に 登るかな
悲しむなかれ わが姉よ
旅の衣を ととのへよ
姉
別れと言えば 昔より
この人の世の 常なるを
流るる水を 眺むれば
夢恥ずかしき 泪かな
妹
慕える人の もとに行く
君のうへこそ 楽しけれ
冬山越えて 君行かば
何を光の 我が身ぞや
姉
あぁ花鳥の 色につけ
根につけし我を思へかし
今日別れては いつかまた
会い見る迄の 命かも
妹
君がさやけき 目の色も
君紅の 唇も
君がみどりの 黒髪も
又いつか見ん この別れ
姉
なれが優しき 慰めも
なれが楽しき 歌声も
なれが心の 琴の音も
又いつ聴かん この別れ
妹
君の行くべき 山川は
落つる涙に 見えわかず
袖のしぐれの 冬の日に
君に贈らん 花もがな
姉
袖に被ほへる 麗しき
ながか頬ばせを上げよかし
なが紅の 顔ばせに
流るる泪 我は拭わん
- 高楼