☆熊人☆さんとモバ友になろう!
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- 2012/2/8 7:55
- The Royal~人生~
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『リンク:THE Royal ⑫』
秋の景色はどこか寂しく感じる。
四季を目一杯感じられるこの日本のどこにアイツはいるんだろうか。
そう思うと、海岸に顔を向けた花が影をひそめた横浜のみなとみらい公園が余計に寂しく見えた。
海を正面にした古い赤レンガのような煤けたベンチに腰をかけ、ノートにリリックを書きなぐる。
それは日本のどこかにいるアイツへのメッセージであり、今の正直な俺の気持ち。
明後日のレギュラーで出ている地元のイベントで歌おうと思っている。
その為に完成させたいのだが、イメージは固まっているのに一番重要なフックの部分が何と無くしっくりこない。
秋風とは言えない身を切るような風を全身で浴び、ノートと向き合う自分。
ふと、その風に紛れてどこか心を擽られる懐かしい香りがした。
「久しぶり」
気のせいではない、今アイツの声がした。
驚いて後ろを振り向くと、チュニックにジャケットを羽織ったアイツがいた。
一瞬…俺の中の時が止まった。
不意にペンを落とし拾っていると、ベンチの足元の向こうからブーツが近付く。
拾おうとしたペンが中指の爪で弾かれた時、拾うのを諦め彼女と向き合う。
彼女は何も変わっていなかった。
肩の手前まで伸びた黒髪にスッキリとした目鼻立ち。
「レイン…」
それ以上の言葉を用意出来ずにいると、レインはベンチに座る。
その様子を見て、言葉を出すのを諦め俺も黙って座る事にした。
改めてここに座ると、さっきまで気にならなかった潮風が運ぶほんの少し塩っ辛い匂いを感じた。
「ここ、久しぶりだね」
俺もそう思った。
レインは言葉を続ける。
「去年の11月10日以来だね」
その言葉に俺は何も返事出来なかった。
レインはただ真っ直ぐ横浜港を見つめている。
糸売?
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