紳士街さんの日記

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- 2010/7/16 7:20
- いつか(飯塚)の少年
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- 初の病院からの外出！
  
  ギブスを巻かれた右足をダッシュボードに乗せ　助手席で外から流れ込む　温か風に苛立ち(いらだち)を感じてた。
  
  病院の中では
  
  決まった時間に飯をくらい
  
  決まった時間に消灯
  
  カーテンを閉める！
  
  シャワーを浴びる！
  
  ションベンに行く！
  
  ちょっとした事が苦痛に思える。
  
  ぎこちない松葉杖にも苛立ちを感じストレスが溜まる。
  
  『いつ治るのだろう？』
  
  流れる景色の中自分の足を眺めてた。
  
  ・・・・・・・
  
  川は溢れてる！
  
  車が流されてる
  
  雨が凄か！
  
  その状況の中で　思いもしない光景を見つけた。
  
  フロントガラスに降りかかる雨を掻き消すワイパーの向こう
  
  大粒の雨の中を黙々と傘もささずに歩いてる一人の少年を見つけた。
  
  頭にタオルを乗せて大雨の中左膝からむき出しのステンレスで出来たまだ新しい義足を装着して　黙々と歩いてる少年が目に飛び込んできた。
  
  少年の前には　その少年をいたわりもせず　傘をさして帰る　下校中の中学生達。
  
  俺はふと後部席を覗き込んだ。
  
  『車　停めてん。傘ばやろうや』
  
  『やってもよかばってん骨の折れてボロボロばい』
  
  『イジメられるやろか？』
  
  そう話してる間に少年との距離が遠ざかる。
  
  遠ざかる少年を目で追った。
  
  遠ざかる少年の顔を見て傘をやらなくてよかった　と思った。
  
  ズブ濡れの少年は笑ってた。
  
  義足で地面を踏みしめながら一歩一歩歩いていた。
  
  雨の中傘もささずに微笑みながら確実に歩いてる。
  
  『あいつ頑張りよるね～！
  
  あいつ前は車椅子やったとかなぁ～！
  
  歩けるっちゃよかね～！』
  
  あの少年から歩ける喜びを教えられた気がした。
  
  『少年の親も迎えに来たかばってんあいつば　強くしようとばいね
  
  飯塚(いいづか)の少年ありがとな！
  
  帰ったらかあちゃんが入れてくれたあったかい風呂に入りんしゃい！』
  
  俺も来週からリハビリ頑張らないかんばい！