シャロックさんとモバ友になろう!
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- 2014/7/30 19:19
- 新婚夫婦?の最終全話
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- あれから―――あの青い空と緑の草原で生まれ変わった、 いや―――本当のエレンを見つけてから―――もう、1年と数ヶ月が過ぎていた。 今、俺達はモンゴルの、ある小さな村で過ごしている。
もちろん俺達とは、吾妻玲二と……そ、その俺の『妻』であるエレンの事だ。
彼女は走り出していた。 なぜまた、一人で逃げているのだろう。 自分はこんなにも弱かったのか? 今は怯えて逃げるだけなのか? 冷静になる事も、反撃する事も出来ないのか? 「ごめんなさい……玲二……」 少女は一人、呟いた。
ガチャ。 「ただいまー」 仕事から疲れて戻ってきた俺だが、家に入った途端、『何か』いつもと違うモノを感じ取った。 「あ、あっ……。 お、おかえりなさい玲二」 出迎えてくれるエレンも、どこか様子がおかしい。
いつもなら出迎えの抱擁やキスをしてくれるのに、何だかそわそわしている。 それにやっぱり……『何か』変だ。 そう。 『匂い』だ。 この『匂い』は―――。 「エレン、『何か』俺に隠してないか?」 小細工なしに訪ねる。
「えっ?! そんな事ないわよ」 平静を装ってはいるが……エレンはもう、『普通の少女』としての暮らしているし、何より一緒に暮らしてい る俺には、エレンが焦っているのが良く分かる。 『何か』を隠したがっている。
何があった? いや、何より―――。 「そうか……。 ぢゃぁ聞くけどさ、コレわナニかな?」 何とも間の抜けた口調で言いながら、俺はエレンが多分隠したがっている『何か』に噛まれたままの脚を向け る。
「あっ! えぇっ!? ちょっ、やだ。 もう、なんで出てきちゃったのっ!?」 慌てながら周囲を確認するエレンだが、その探している目的の『何か』は俺の脚にじゃれて『噛み』付いたま ま。 それはもう『ぶら~ん♪』と、楽しそうにぶら下がっている。 まぁ、それほど痛くはないから別にいいのだが。
「で、説明してくれるよな?」 「ぅ……うん」 俺の脚に噛み付いたままの『何か』―――黒い子犬―――を引っぺがしながら、エレンは恥ずかしそうに、バ ツの悪そうに、上目使いでそう答えてくれた。
- あれから―――あの青い空と緑の草原で生まれ変わった、 いや―――本当のエレンを見つけてから―――もう、1年と数ヶ月が過ぎていた。 今、俺達はモンゴルの、ある小さな村で過ごしている。